今週の風の詩
第3950号 消えゆく街の書店(2024.10.27)
消えゆく街の書店
バンビ(ペンネーム)
全国から書店員が訪れる書店員の聖地、地元の文化の拠点として、44年間親しまれてきた、鳥取市の定有堂書店が4月に閉店するというニュースを知りました。
近年はインターネットが情報の中心的存在となり、本離れは進む一方です。本の購入も、ネットでの購入が増え、この20年間で、国内の書店数は、2分の1に減少したそうです。
私の住んでいる街の本屋さんも、コロナ禍直前に、惜しまれながら閉店しました。
広いスペースに、女性の生き方、美術、歴史、哲学、教育等品揃えも豊富で、入門書から専門書まで揃う、店主のポリシーが伝わってくる書店でした。
コロナ渦になって、家時間が増え、人々が近くの本屋さんを最も必要とした時には、この書店が消えていたので、近隣の人々は途方に暮れました。
暮らしている街に書店があることは、心の安らぎをもたらしてくれます。
悩みがある時、会社から疲れて帰る帰り道、ふとした本との出会いが、自分を救ってくれました。人々が書店に立ち寄る姿は、安心で温かい街の光景でした。
そんなアナログの世界から、世の中はデジタルの世界へと変わり、AmazonではAIが、その人の興味に沿った本を推薦してきますが。
自分の心に響く本は、やはり、リアル書店(実店舗)での新しい本探しや、未知のジャンルの本との偶然の出会いから見つかることが多いのではないでしょうか。
米国では、コロナ禍を経て、家で過ごす時間が増え、一度、衰退したリアル書店(実店舗)が最近、復活出店しているそうです。
また、フランスでは、以前から長期休暇の前になると、休暇中に読む本を10冊ぐらい書店で探して購入する人が多いそうです。
私が住む街のように、書店ゼロの街が増え続けて行く日本を少し寂しく思っています。