今週の風の詩
第3977号 親と子(2025.5.4)
親と子
ユーモア(ペンネーム)
上京して少し経った頃に母が再婚した。
僕の家は母子家庭だったので
上京する際、母を残して行って良いものかと迷いもあったが
「行きたいなら行っておいで」と母。
昔から我が家は自由な感じで
再婚の話を聞いた時も
「母が良いと思うならいんじゃない」と僕。
心配な部分もあったので安心したのも大きかった。
‥離れて親のありがたみが分かる‥とは良く聞くが、僕の場合は正にで、
掃除をしないと部屋は散らかったまま。
洗濯物も溜まっていくし、仕事から帰って温かいご飯が待っている事もない。
誰かがやってくれる訳もなく、疲れていても自分で作るしかないのだ。
そんなこんなで
自分の生活もなんとかこなせる程なのに、
更に子供も育てるなんて母には感心するし、尊敬している。
膨大な時間とお金をかけてくれたのだろう。
僕はと言うと、今年で35歳で
上京してもうすぐ13年が経つ。
現在、個人事業主として食品の卸売りを主に行っている。今年で8年目だ。
仕事を始める際に
‥軌道に乗るまではかけられる時間とお金は全てかける‥とルールを決めた。
もちろん最初からその仕事だけでやって行ける訳もなく
フルでアルバイトもしていたし、自分の仕事もあるわで
休みも無く、お金も無いわで本当に苦労した。
そんな生活が数年続いたが、
続けていると有難い事にお客様も少しずつだが増えて来る。
アルバイトと自分の仕事の比率が変わってきて、
なんとか自分の仕事だけで生活できるようになったのは、ここ最近の話である。
自分には子供はいないが、時間とお金をかけて大きくしてきた
‥ブランド‥と言うものは子供の様な感覚もある。
そのブランドがひとから褒められるのは、やはり嬉しいし、誇らしい。
そういう感情を抱く様になってから、
形は違うが母もそうだったのだろうか?と思う様になった。
時間とお金をかけて育てた子供が褒められる事は嬉しいし、誇らしい。
僕もできれば、そういう存在でありたい。