今週の風の詩
第3978号 おにぎり(2025.5.11)
おにぎり
宇野英史
息子のお弁当に、おにぎりをよく作る。
ボウルに梅干しを入れて、塩昆布を入れて、胡麻を入れて、あればおじゃこも入れて、ご飯を入れて混ぜる。梅干しは本当はたたいたり刻んだりして入れたら良いのだろうけれど、面倒くさいのでしゃもじでつぶして、混ぜ込んでいる。
白いご飯が段々と赤く染まる。初めは赤と白がはっきり分かれているが、混ぜていくほどに赤と白の境界線が曖昧になって、全体が薄いピンク色になっていく。
これくらいで良いかな、と思うタイミングよりも少し多く私は混ぜてしまう。どこかにまだ染まっていない白があるような気がしてしまう。
私の母は、これを、混ざる手前あたりでやめてしまう人だった。母のおにぎりは大概ゆかりと決まっていた。今のようにふりかけの種類も多くなかったし、梅干し一つ入れる手間も惜しいほど、母は忙しかったのだと思う。母のおにぎりは混ざりきらず、濃い紫のところと、ほとんど白に近い、薄い紫が、おにぎりを包んだラップ越しにはっきり分かるほど、まだら模様だった。
均一に混ざったおにぎりが好きだった私は、どうしてもっと丁寧に混ぜてくれないのだろうと、おにぎりを食べる度に思った。それなら自分でやろうという自主性がなかったのはお恥ずかしい話。
フルタイムで教師として働きながら、家事全般をこなしていた母の毎日は忙しかった。学校での仕事を終えて帰ってくるのは7時過ぎ、それからバタバタと食事を作って、家族に食べさせて、終わってから家に持ち帰った仕事をしている姿もよく目にした。母は元々細かいことを気にしない性格で、家事は大雑把で、おにぎりも大雑把。でもだからこそ家のことが回っていたのだと今になって思う。
おにぎりを作ると、いつも母のことを思い出す。
ボウルに梅干しを入れて、塩昆布を入れて、胡麻を入れて、あればおじゃこも入れて、ご飯を入れて混ぜる。梅干しは本当はたたいたり刻んだりして入れたら良いのだろうけれど、面倒くさいのでしゃもじでつぶして、混ぜ込んでいる。
白いご飯が段々と赤く染まる。初めは赤と白がはっきり分かれているが、混ぜていくほどに赤と白の境界線が曖昧になって、全体が薄いピンク色になっていく。
これくらいで良いかな、と思うタイミングよりも少し多く私は混ぜてしまう。どこかにまだ染まっていない白があるような気がしてしまう。
私の母は、これを、混ざる手前あたりでやめてしまう人だった。母のおにぎりは大概ゆかりと決まっていた。今のようにふりかけの種類も多くなかったし、梅干し一つ入れる手間も惜しいほど、母は忙しかったのだと思う。母のおにぎりは混ざりきらず、濃い紫のところと、ほとんど白に近い、薄い紫が、おにぎりを包んだラップ越しにはっきり分かるほど、まだら模様だった。
均一に混ざったおにぎりが好きだった私は、どうしてもっと丁寧に混ぜてくれないのだろうと、おにぎりを食べる度に思った。それなら自分でやろうという自主性がなかったのはお恥ずかしい話。
フルタイムで教師として働きながら、家事全般をこなしていた母の毎日は忙しかった。学校での仕事を終えて帰ってくるのは7時過ぎ、それからバタバタと食事を作って、家族に食べさせて、終わってから家に持ち帰った仕事をしている姿もよく目にした。母は元々細かいことを気にしない性格で、家事は大雑把で、おにぎりも大雑把。でもだからこそ家のことが回っていたのだと今になって思う。
おにぎりを作ると、いつも母のことを思い出す。




