今週の風の詩
第3997号 愛しの歯医者(2025.9.21)
愛しの歯医者
長月のころ(ペンネーム)
「もう来年いっぱいくらいでやめようと思ってるんですよ」
去年の終わり、治療の合い間にT先生はポツリと告げられた。
あまりの急なことに私は耳を疑う。
それは長年通っている歯医者。
T先生はいつやめてもおかしくない年齢だが、今まで私はそれをあまり意識してこなかった。
突然で急な話。
T先生も急に話すより、少し猶予をと思われたのだろう。
私は50年間、この歯医者に通い続けた。
結婚して京都に住むようになってから、家が近くで開院したばかりの歯医者。
相性が良かったのだろう、何の迷いもなく通い続けた。
だから他の歯医者を知らない。
T先生には後継者はなく、一代で終わりになる。
今年いっぱいって言われてたけど、前倒しで9月いっぱいとなった。
もう後1か月足らずの時効が迫っている。
何か憂鬱な日々。
最近、あらゆる歯が痛み出した。




