今週の風の詩
第4001号 天国からのLINE(2025.10.19)
大学卒業後、都内のIT系企業に就職して7年目。
私は昇格に必要な資格の勉強に励んでいた。
同じ頃、祖父ががんと闘っていた。
ただ状況があまり良くならず、ついに余命を宣告されたと聞いた。
年に2回ほど私は祖父母に会いに関西へ帰省していたが、普段はLINEで祖父とやりとりをしていた。
余命宣告の話を聞き、私は祖父にLINEを送った。
「じいじが頑張っているから、私も資格の取得のために頑張って勉強してます。一緒に頑張ろうね!」
その後、祖父は亡くなった。幼い頃からずっと可愛がってくれて、見守ってくれていた祖父がいなくなり、寂しかった。
そして、亡くなる前に資格の取得ができなかったことがとても悔しかった。
四十九日が終わった頃、私はやっと資格の試験に合格した。
私はすぐに祖父へ報告のLINEを送った。
もちろん永遠に既読がつくことはないとわかっていたが、とにかく祖父へ感謝の気持ちを伝えたかった。
「今日、じいじが応援してくれていた試験に合格しました!見守ってくれて、応援してくれてほんまにありがとう!」と合格を伝えた。
5日後、祖父からLINEの返事が届いた。
「みーちゃん、有難う 此れからも天国から見守って、いっぱい応援しているよ」というメッセージだった。
届くはずのない天国からのLINEに一瞬動揺したが、すぐにわかった。
祖母が祖父の携帯を管理しており、私からのLINEに気づいた祖母が気を利かせて、祖父からのメッセージかのように私へ返信してくれたのだった。
もちろん祖父からの返信ではなかったけど、祖母の気遣いが嬉しかった。そして、きっと祖父も同じような返信をくれていただろうなと思った。
私は来年度からの昇格が無事決まった。
じいじ、私はこれからも頑張ります。天国から見守っていてください。




