今週の風の詩
第4002号 散歩の会(2025.10.26)
散歩の会
ウォークマン(ペンネーム)
300戸以上もあるマンションの住人有志で、毎週水曜日の午前中に散歩をしている。
男女半々、60歳~90歳のまさに老人いや高齢者が10人から15人ほど集まって近所を
ゾロゾロ歩くのである。こんな日時だから若い人はいない。半分くらいは連合いに
先立たれている。全くの自由参加だから事前申し込みもないし、出欠もとらない。
「Wさんが来てないね」「一昨日スーパーで会ったら、膝が痛むって言ってたわよ」
「あっ、Kさんだ。久し振りですね」「へへ、女房が歩いて来いってうるさいんで、
たまにはね」
こんないい加減なグループにも不思議なことに中心になる人は出てくるもので、
我らの散歩の会ではMさんがまとめ役になってくれている。
ありがたいことである。
「どこへ行くの」とノンビリ屋のUさんが笑顔できく。「天気がいいから富士山が見
える所がいいな」と最長老のNさん。「それじゃあ、あの公園はどうかな」と毎日歩
き回っているTさんがすぐ提案した。「みなさん、それでいいですか」とMさんが言っ
てスタートだ。「膝が痛むならA整形外科がいいわよ。あそこのS先生はすごくよく
みてくれるの。イケメンだし。フフフ」
「そうなの。Wさんに教えてあげよう」
立ち止まってピンクの花を見ているEさん。「きれいな花ね、なんていう名前かしら」
「さあね。名前は人間が勝手に付けたものだから、分からなくてもきれいに咲くね」
とはいつもちょっと皮肉っぽいHさん。前になり後になり気楽に会話をしながら1時間
から1時間半ほど歩いて戻ってくると、「今日は9千歩いったよ」と何事も数字で
確かめずにはいられないYさん。みなさん満足げにうなずいて、「じゃあ、また来週」
いつまでも散歩ができますように。




