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今週の風の詩

第4009号 あたたかな朝(2025.12.14)

あたたかな朝
青柳 麟(ペンネーム)

ささやかなお小遣い稼ぎと運動をかねて、商業施設の清掃の仕事を始めた。営業時間前に清掃が終わるようにと朝は早く、しかし1日の残りを有意義に過ごせるのでなかなか気に入っている。

 毎日5人がシフトに入り、5つのコースに分かれて清掃をする。5つのコースのうち、4つは室内だが、残り1つは屋外。厳しく冷え込む冬の朝には、身体の芯から冷えるので屋外コースが当たらぬようにと願いつつ出勤するのである。

 ある日、いつものように慌ただしく出勤の準備をしつつテレビの天気予報に耳を傾けていると、その日は今年一番の冷え込みになるという。いつも以上に、例のことを願いつつ出勤する。事務所に着き、その日の担当が書かれたホワイトボードを確認すると、その怠け心が見透かされたように、見事に屋外コースに私の名前が書かれていた。
 しかし、5分の1の確率なのだから仕方がないと自分を納得させ、道具の準備をしていると、先月から入った大学生が「おはようございます。」と爽やかな挨拶をして事務所に入ってきた。同じようにホワイトボードで担当のコースを確認している。彼は屋外コースでないことに安堵しているのだろうかなどと考えていると、彼が近づいてきて「これどうぞ。」と何かをポケットから取り出した。手を出して受け取ると、じんわりとした温かさが手のひらに広がった。「え?」と私が戸惑っていると、彼は「今日は屋外コース、寒いでしょう。」と一言。カイロを渡してくれたのである。今度は、身体の芯から温かさが広がった。

 清掃仲間とは、朝礼と終礼の前後にわずかに言葉を交わす程度であるが、そのわずかで、しかし温かな交流が、仕事へ向かう足取りを軽くする。

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