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今週の風の詩

第4035号 人生謳歌(2026.6.14)

人生謳歌
吉田 康則

定年後の再雇用勤務も終え自由の身となり10年、気付けば75歳である。退職した当時、友人達から“のんびりした生活が続くと自堕落になることが多いから気をつけた方が良い”との忠告を受けた。傾聴に値する助言だった。そこで自身を律しようと守るべきルールを作り、遵守して暮らそうと心掛けた。
毎朝の散歩コースを決め、余程の雨風にでもならなければ同じ時間に同じコースを歩いた。朝食も決められた時間、午前中は朝刊二紙に隈なく目を通した。決められた曜日の買い物や金融機関等へ出向くのは車ではなく自転車利用を守り通した。日々だけではない。春先の野菜の植え付けに始まり、育ち始めた野菜たちへの施肥や収穫時期も変えず、妻から「農業カレンダーを見ているみたい」と呆れ半分に揶揄われた。
それでも特段ストレスが溜まることもなかったし、毎日の予定が決まっていたから時間を持て余すこともなく、それなりに充実した日々を過ごしてきた。助言をくれた友人達は、私がそんなストイックな生活を続けられる筈がないと考えていたようで不思議そうに「型に嵌ったような生活を続けていて疲れないの?」と不思議がられた。
規則正しい生活に慣れてしまった本人にすれば何の苦にもならなかったが、毎日を考え直す切っ掛けは突然やってきた。日頃の様子を聴いていた小学校高学年になった孫の「おじいちゃん、規則正しい生活も大切だけど人生には“彩り”も必要だよ!」の一言に急所を突かれたような気がした。子どもの観察眼の鋭さである。
確かに凹凸が少なくなり予定調和に満たされたような日々には、ワクワク感が欠けていた。意固地になってはいけない。ほんの少しギアチェンジすることを決心した。規則正しい生活を続けながら日々にゆとりを持ち、やりたいことをやりたいように・・・である。七十余年間、懸命に歩んできたご褒美を享受しよう。考えると楽しくなる。これからが本当の“人生謳歌”の日々である。

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