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今週の風の詩

第3899号 母の手塩(2023.11.05)

母の手塩

                         ナチュラル(ペンネーム)

晩秋になると、野沢菜漬けや白菜漬けを仕込んで冬支度を
始める母の姿を思い出す。11月ともなると私の田舎はかな
り冷え込んできて、手を真っ赤にしながら葉物を洗い、大
きな樽にぎゅうぎゅう詰めに野菜を重ねていく作業は、結
構な重労働だったと思う。でもなぜか、普段の家事より楽
しそうに見えた。年に1度のことだからかひとつの季節の
イベントとして捉えていたのは確かだが、例えば年末の餅
つき、おせち作り、私の誕生日の定番だったらしいちらし
寿司の時より、生き生きとしながら漬物作りに勤しんでい
た気がする。そう考えると、年明けの味噌作りや、初夏に
梅仕事と言って梅酒や梅干しの準備をする時も、どれも相
当な手間がかかるというのに、漬物作りと同じテンション
の高さがあった。

この違いはなんだったのだろう。

私も大人になり、実家ほど大規模なことはできないが、
「マイぬか床」でこじんまりぬか漬けを作ったり、週末ま
とめて1週間分の常備菜を作る時に、独特の高揚感がある
ことに気づいた。そうか、母も、毎日を充実させること、
日常を大切に生きることに幸せを覚えていたのだ。漬物も
味噌も梅干しも、派手ではないけれど確実に日常を支えて
くれ、登場回数言ったらどんな主役級の食品より多いだろ
う。正月のお餅や誕生日のごちそうのように、年に1度しか
食べない「ハレ」の食事とはまた違う、「ケ」の食事や「ケ」
の日々そのものを大切にすることの喜びを母は深いところで
は知っていて、丁寧に生きる姿勢が常に根底にあったのだ。

 私たち家族の幸せと健康は、母の丁寧な手間のひとつひと
つで出来ていたことを改めて思った。  

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