今週の風の詩
第3893号 甥っ子の門出(2023.09.24)
甥っ子の門出
無色透明(ペンネーム)
9月某日、甥っ子の結婚式に参列した。私の弟の長男であ
る甥っ子は、ことし32歳になる。子どものいない私たち
夫婦にとっては、かつては実の子のように感じたこともあ
った。幼い頃、我が家のソファの上で飛び跳ねていたら、
何かの拍子にバランスをくずし、頭をゴツン。
火のついたように泣き出し、急いで弟達両親が病院へつれ
ていった。その後、数時間後にはケロッとした表情で、再
び我が家に顔を出したときは驚いた。
数針縫ったというのに、「おじちゃんのとこに行く」と言
って、きかなかったらしい。
なぜか私によくなつき、「絵をかいて、絵を書いて」とせ
がまれ、当時はやっていたアニメの主人公を何枚も飽きる
まで書いたものだ。結婚式は今時というのか、堅苦しいも
のではなく、和気あいあいとしたものだった。とりわけ
新郎の友人らの出し物は、趣向に富むというより荒唐無稽
にも近かった。だが友人の多さに、甥っ子の人柄が伝わっ
てきたし、花嫁の涙を拭う姿には、これから二人で素敵な
家庭を築くだろう予感に包まれた。もし自分にも子供がい
たら、、、そんな思いが、フワッと一瞬わいて消え去った。