今週の風の詩
第3895号 コスモスが咲いた(2023.10.08)
コスモスが咲いた
鈴木良太 |
コスモスは一年草と言われているが、家のベランダで育て
ているコスモスはなぜか2年目も咲いた。
植物なんて育てたこともなかったのだが、コロナ禍で家で
出来る何か新しいことを始めようと、ホームセンターで鉢
と土を買ってきて種を蒔いてみたのがきっかけだ。
種はもともと商店街の福引でハズレにされていた景品だっ
た。調べてみると3ヶ月ほどで花が咲くらしく、春先にでも
始めようとジャンパーの内ポケットにしまい、そのまま年を
越した。そのジャンパーは衣替えでクローゼットからクリー
ニング屋へ渡ってしまったが、景品の種は店の従業員によっ
て救出された。
芽が出るまで時間がかかり、何かやり方を間違えたとのかと
不安になる。数日後、重たい土をかき分け小さな芽が出てい
た。それから2ヶ月程度、いくつもの芽が出ては葉をつけ蕾が
なり白い花が咲いた。
どんな花も初めは種から同じように芽が出て咲く、当たり前だ
が感慨深く尊いもので、花が咲く喜びを実感した。
咲いた白いコスモスを今日はキッチン、明日は窓際など、部屋
の様々な場所で飾ったり写真を撮った。
そうこうしてる間に花はくたびれて、そのまま枯れた。
枯れたコスモスの鉢をベランダに置き、そのまま年を越した。
今年の春、ふと土だけになった鉢を見ると、小さな芽が出ていた。
芽は1年目と同じように育った。
どういう訳か枯れたコスモスの種が土に残っていたようだ。
誰にも気にされない間も土の中でじっと時を待ち、
絶やさぬように出てきたくれた芽に再び水をやった。
そして咲いた、2年目の白いコスモス。