今週の風の詩
第3901号 ちょうどいい幸せ(2023.11.19)
ちょうどいい幸せ
ささもと(ペンネーム)
まだ小さい子供の育児と、思ったよりも早く始まってしまった介護に明け暮れる日々だったが、ダメで元々と応募したライブに、なんと当選してしまった!
姉に相談すると「家のことは全部任せて行きなさい」と言ってくれたため、
久方ぶりに一人夜外出することが出来た。
ライブは大好きなアーティストの曲を生で聴ける夢のような時間だった。
思ったよりも早く終わってしまったため、家族に連絡をして外で食事してから帰ることにした。
居酒屋に行こうと決意し、なにを食べようかとウキウキしながら電車に乗った。
ひとりでお酒を飲めるなんて久し振りすぎて胸が躍った。
しかし不思議なことに、最寄り駅に近づくにつれなんとなく気が変わってきてしまい…結局、そのまま家に帰ってしまった。
「あれ、ご飯は食べてこなかったの?」と家族に聞かれ、
「うん、なんとなくね」と言いながら買ってきたビールと焼き鳥を広げると、
夕飯を食べ終わったはずの子供たちが群がってきて焼き鳥を取られてしまった。
今の自分には、このくらいがちょうどいいのかな、と感じた。