今週の風の詩
第3904号 夫の特技(2023.12.16)
「じじーじじー」
一緒に住む孫、6、2、1歳は夫が大好きだ。
今日も早朝から孫たちは夫の寝ている部屋にやってきて、膝や肩、背中に乗って騒いでいる。ほのぼのとしていて、小さな幸せを感じる瞬間だ。
昼になると花の水やりで庭に出る夫を1歳の孫が泣きながら探す。これも最近よく見る光景だ。
「やれやれ、外にも出られないぞ」
夫は困ったような嬉しそうな何とも言えない表情をしてから、孫を優しくだっこする。
普段夫は、在宅で仕事に追われている娘夫婦の代わりに孫の幼稚園の送り迎えも担当している。ちょっと登園時間より早く出発して、電動自転車に孫たちを乗せて近所の土手や林、田んぼの近くをぐるりと一周。そんな毎日を繰り返しているので3人の孫たちは夫が一番好きで、 夫が「一番の味方」だと信じてやまない。
夫はいう。
「孫と一緒に暮らさなかったら、近所の移り変わる景色や風を感じることもなかっただろうし、自転車をこぐなんてこともなかっただろうな」と。 夫はとても幸せそうだ。
夜、昔話や自作の話を孫に聞かせて夫の1日は終わる。私もときどき聞き耳を立てるが、その面白いこと。面白いこと。笑いをこらえ布団をかぶって、一人くすくす笑うこともある。
結婚45年。孫が生まれて、夫のすばらしい特技知った。
「子供目線で遊ぶ天才」なのだ。
いつも無邪気で、ちょっと適当でどこか頼りないと夫と思っていたけど、そんなことはなかった。夫にはたくさんの魅力があるということを、この年で孫に教えてもらった気がする。
「お父さんって、かっこいい」と娘。
「ほんと、すごいわねぇ」と土いじりをする孫と夫をみながらつぶやく私。
夫にはどうか長生きしてほしい。そして私も健康第一で暮らしながら、家族で孫の成長を見守っていきたいと思っている。