送り先1か所あたり
10,000円(税込)以上で送料無料

今週の風の詩

第3911号 マラソン大会(2024.1.27)

マラソン大会
辰野 泰之

先月マラソン大会に初めて参加した。この日のために休日や仕事終わりにこつこつランニングして体力をつけてきた。私は走るのが好きだ。日頃ストレスを感じた時、嫌なことがあった時に走ると心と身体がリセットするように感じる。走っているときは左右交互に踏み出す自分の足に集中し、全身で風を切る心地良さに身を任せる。そうしていると日常の中で心についてしまったささくれがいくらか取れていくように感じるのだ。

大会当日は良く晴れて、それでいて涼しく、走るには申し分ない天気だった。私は初めてのことに緊張しながらも、それが楽しみでもあり少し心躍っていた。大勢のランナーがスタートラインに集まっている。他のランナー達はどんな気持ちでここに立っているのだろうか。そんなことを考えながら私もゆっくりと足を踏み出した。

結果を先に言うと記録は散々だった。余裕があったのはレース中盤までで、折り返しに差し掛かるころには私の足は悲鳴を上げていた。自分が思い描いているペースと現実との差を前にして、走れば走るほど私は追い詰められていく気持ちになった。気力と体力は静かに、しかし確実に削がれていくのを感じていた。マラソンは自分との闘いである。そうでありながらも、後方を走るランナーから幾度となく前を抜かれるのを目の当たりにすると、自分だけではない、他の多くのレース参加者と争っているということを意識せざるを得ないのだ。

走り切った爽快感と疲労が積もった身体で私は大会を後にした。初めてのマラソン大会は苦くも爽やかな味がした。

カレンダー
  • 今日
  • 定休日
  • 受付のみ・発送無し

土日祝日は発送がお休みです。水曜日も発送が休業の場合がございます。

ページトップへ