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今週の風の詩

第3917号 冬のたのしみ(2024.03.10)

冬のたのしみ
メイコ(ペンネーム)

 仕事をリタイアしたのを機に、居間に小さな火鉢を置きました。こどもの頃、
祖父の傍らにいつも火鉢があり、ずっと心の片隅で「火鉢、欲しいなあ…」と
思っていました。でも、家を空けることが多い暮らしには向かない、と諦めて
いたのです。
 朝起きたらまず、炭に火を起こします。最初、なかなか火をおこすことがで
きず、調べたところ、「煙突効果」を利用するのがコツのようで、空き缶と網
で火起こし器を自作し、台所のガス台で何とか火が起こせるようになりました。
寝起きでボーっとしたまま火が付くのを待っていると、だんだん目が覚めてき
ます。
 燃え始めた炭を火鉢に移し、やかんをかけ、朝のお茶の準備です。お茶を飲
みながら、朝食用に魚の干物などをちょっと焙りたいところですが、魚や肉は
煙がすごく出るので、居間火鉢には向きません。煎餅や前日の残りご飯で作っ
た焼きおにぎりが朝ごはんの定番となりました。
 次は10時のおやつ用にさつまいもを焼きます。いろいろと試してみて、水で
湿らせたキッチンペーパーを巻いたさつまいもを、アルミホイルで包んで焼く
方法に落ち着きました。時間をかけてじっくり焼いたさつまいもは、毎日食べ
ても飽きることがない美味しさです。
 火鉢は食べる楽しみだけではありません。時代劇、冬の室内のシーンには必
ず火鉢がありますが、以前は「暖かいのは手元だけで、部屋は寒いんだろうな」
と思いながら観ていました。ところが小さな火鉢でも、暖房効果はなかなかの
もの。気密性の高いマンションの一室の我が家の居間は、ほかに暖房器具を使
わなくても厚着していれば快適に過ごすことができます。
 そしてもう一つの火鉢の楽しみは、火鉢を囲んで家族の会話が弾むこと。焚
火には癒しの効果があるそうですが、同じような効果を炭火にも感じます。
 我が家の冬の居間になくてはならない存在となった火鉢。換気を忘れず、こ
の冬も火鉢のある暮らしを楽しみたいと思います。

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