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今週の風の詩

第3919号 燕来たる(2024.3.24)

燕来たる
Y・M(ペンネーム)

自宅は結構な田舎にある。周囲は農家が多い。
住み始めたのは2人目のこどもが生まれてからだから、もう24年目だ。
今年の春、燕が軒先に巣を作り始めた。小柄な、まだ若い夫婦に見える。10年以上
前に一度だけ訪れた夫婦がいたが、半ばにして巣が落下し、それ以来燕とは無縁だった。
が、なぜか今年、突然彼らはやってきて、糞を落としながら建材を運び、小さい(ように見える)巣を完成させた。
 なんだかうれしい。これまでも雀や蜂が巣づくりをしてきたけれど、燕に運ばれたことが還暦を迎えた夫婦の生活に幸福感をもたらしてくれている。私たちは、彼らの営みの邪魔にならないよう、監督し過ぎないよう、通りがかりに様子を見るのが楽しい。
 夜、巣からほとんどはみ出す形で寝るんだ、という発見や早朝からずっと働いているんだ、という感心など、初めて大家になったからかな、あれやこれや新鮮な感動がある。
 時を同じくして、紆余曲折を経て長めの学生生活を送っていた次男の卒業が見えてきたり、男同士の確執が強くて時間がかかっている長男と夫の関係が前進したり。
 燕は、なにやらいろいろ運んでくれている気がする。でも、まだまだ道の途中である。
これからも雛の誕生や巣立ちをできるだけそっと見守りたいなと思う。

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