今週の風の詩
第3942号 結婚式(2024.9.1)
結婚式
HIROKO(ペンネーム)
「結婚式は親のためにするものよ」
無事に入籍を終え、やや後ろ向きな気持ちで結婚式場の見学に行った際、
ウェディングプランナーさんに言われたことだ。「そんなのブライダル
業界のセールストークだろう」とひねくれ者の私は思った。
ただでさえ、人から注目を浴びることが嫌いな私は自分のおめでたい
パーティーを開くなど最も避けたいことだった。だが、夫のどうしても
やりたいという意向もありしぶしぶ合意。実施が決定した。
これは私の不思議なところだが、どんなに後ろ向きなことでも、いざや
るとなると「どうせやるなら」と力が入る。
ネットにはおすすめの引出物やら、料理にはこだわるべし等様々な
how toが載っていた。こうして情報の波にのまれながら私は結婚式を
終えた。
結婚式からしばらくたったある日、母から1件のLINEが来た。「素敵な
お友達に恵まれたようで安心しました」と。
よく考えると、私が幼い頃の私の友人関係など、母がすべて把握できる
限られた世界だった。しかし、20代後半となった今、むしろ母が知らな
い人ばかりである。だからこそこうして娘が多くの人たちに祝われて
いることに安心したのだろう。
そんな母の喜ぶ姿を想像して、「結婚式は親のためにするものよ」この
言葉の意味を理解する日となった。